訃報:歴史小説家「山本兼一」氏は職人を書く名人。「夢をまことに」に続く遺作の「平安楽土」は未完

57歳の若さで直木賞を受賞された山本兼一氏が亡くなられました。心よりお悔み申し上げます。

この方の物語は大好きでほとんどの小説を読ませていただきました。2014年2月13日3:10に死去。57歳没。(wiki) 死因は「原発性左上葉肺腺肺がん」と伝わっている。

なかでも私の選ぶ傑作は、下記の5本。

歴史小説で戦国の脇役を描く山本兼一氏

彼の物語は、数多いる戦国時代の人物の中で皆に知られている超一流人物ではなく、一癖も二癖もありながら知名度では劣る人物たち。織田信長や徳川家康など戦国オールスターキャラはそこに登場する脇役です。

火天の城

織田信長の命で安土城を築いた番匠のお話。絶対権力者にも物事によっては屈さない建築家の誇りと誉。そして、何よりも父と子の葛藤が描かれています。いつも苦虫をかみつぶしていた父の顔とその心に息子が気づき父の方もその苦悩を降ろし始めます。

映画版には父と子のぶつかり合いがないため小説版を読むことをお勧めします。


いっしん虎徹

かの今宵の虎徹は良く切れるで有名な刀鍛冶。鉄を何よりも愛し良き刀を作ることだけにまい進した刀鍛冶を描きます。職人の驕りや矜持。人の命を奪う刀が存在する意義は・・・心震える物語

さらに詳しい紹介もしています。

利休にたずねよ

第140回直木賞を受賞し市川海老蔵主演で映画にもなりました。あの侘び茶を広めた千利休が持つ美意識。

なぜ、彼は秀吉に切腹を命じられたのか?なぜ、わずか二畳の茶室「待庵」を作らせたのか?

侘びとは日本の美とはに対して山本兼一氏の考える利休と周囲の人々。そして利休がかつて愛した女と今愛しているはずの妻との物語

美の天下を目指した男「千利休」。土くれを焼いただけの茶碗や竹をけずった茶杓がなぜ美しく価値があるのか?

タイトルにある「利休にたずねよ。」とは何を尋ねれば良いのだろうか。映画版公式サイト

小説版のあとがきでは、作家の宮部みゆきさんが自身の解を明かします。

山本兼一氏、受賞作『利休にたずねよ』を語る

命もいらず名もいらず

幕末から明治維新にかけて三舟と呼ばれた山岡鉄舟。明治維新といえば薩長土の志士たちが歴史の中心。幕臣は一部を除き腰砕けが多く旗本八万騎は張りぼてだった。その中で筋の通った人物が山岡鉄舟です。

一つ、山岡家の奥様「英子さん」には心より同情いたします。山岡鉄舟のエピソード

ジパング島発見記

ルイス・フロイス、フランシスコ・ザビエル、日本に来た宣教師たちに興味はありませんか?黄金の島ジパングは海外からどのように見えていたのか。

鉄砲伝来からわずか数年で世界有数の強国に成り上がり海外進出までもくろむ中、キリスト教と貿易という歴史では重要視されにくい宗教とビジネス(お金)の観点からも楽しめる小説です。

フランシスコ・ザビエルは聖人に列せられ、今もインドゴアの教会で眠っています。2014年は遺体が公開される年。

山本兼一氏の遺作

もう彼のつむぐ物語が読めないと思うと悲しくてなりません。最新作は安土桃山時代の天才絵師「狩野永徳」の生涯を描いた「花鳥の夢」。

京都新聞で連載していたのは、近江の国友村の鉄砲鍛冶「国友一貫斎」を主人公とした「夢をまことに」。山本兼一氏ならではの職人魂が語られていそうで発刊を心待ち。そして雑誌「中央公論」に平安京造営に情熱をかける男たちを描く小説「平安楽土」を連載しており未完のままお亡くなりに。

連載小説平安楽土《第3回》山本兼一(中央公論

ご冥福をお祈り申し上げます。


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