室賀正武:真田昌幸の宿敵(とも)として壮絶に死す
- 2016/3/21
- 真田家の悲喜劇
NHK大河ドラマ「真田丸」の前半、人気だった室賀正武が、第11回「祝言」で壮絶な死を遂げてしまいました。
真田信幸を一喝する「黙れ小童!」で、ワクワクさせてくれた人気者。
信濃の国衆が集まった時には、リーダー格の真田昌幸が、信長・一益・上杉・北条・徳川と次々に味方する勢力を変えることに対して、一人反抗していた室賀正武。父を擁護する真田信幸(大泉洋)に、「黙れ小童!」を炸裂させていましたね。
室賀正武と真田昌幸:ライバルであり友にはなれず
史実では、信濃国衆の一人として、存在は知られているも、知名度の高い人物ではなく、史跡や史料はほとんどありません。
それだけに、今回の真田丸では、圧倒的な存在感で、真田昌幸の引き立て役として活躍してくれました。
小童どうでしょう(4連)
真田丸の中で、昌幸とは、信濃の小豪族の息子として、同じような境遇に生まれた室賀正武。幼なじみ兼碁敵だったようです。真田昌幸は、武田信玄の元で小姓として育てられた人。小説の中には、武田信玄・信繁兄弟に碁を教えられたという設定のお話もあります。真田丸の中でも、二人は、小姓として信玄の元でともに育ち、ライバル兼同僚として一人前の武将へと育っていった背景があるのではないでしょうか。信玄に、お前たち二人は儂の碁相手になれるように精進せよと命じられて、何十回と対戦して腕を磨いたと想像します。
しかし、武将として、人として、主君の信玄や周囲が認めるのは常に真田昌幸。室賀正武は常にの一歩後ろを歩む人生を過ごしています。ゆえにどうしても反発を抱いてしまうのでしょう。お互いに認め合うところは持ちながら、人として好かんと思い合う二人。碁の腕だけは室賀正武が常に上だったようですね。
まっすぐで曲がった事の嫌いな室賀正武、家や家臣を守るためなら手段を選ばない真田昌幸。信濃の国衆が独立しようとの昌幸の話に、面白い!と乗った室賀正武。その裏で真田氏の大名化に向けて動き出す昌幸と出浦昌相。
室賀正武の死
室賀正武は、徳川&北条同盟成立で、言うことを聞かない真田が邪魔になった徳川家康に昌幸暗殺を唆されます。
家康&正信コンビに翻弄されるも、幼なじみは殺せんと一度は断ります。ところが、本多正信の前に、承知せざるを得ない状況に追い込まれます。
そして、真田信繁と梅の祝言に招いての二人。ここからのドラマは素晴らしい。
久しぶりに碁を打つ二人。クライマックスでの二人の語り。
隙をついてわしを殺し、この城を奪うつもりだったか。わしの家来になれ、そうすれば赦す
武将として人として、わしはお前より劣ると思ったことはない。わしの勝ちじゃと小刀を置く室賀正武殿。
わしはお前の家来にはならんと、刺し違えようとする室賀正武!
出浦昌相・信幸・高梨内記に斬られていき、壮絶な死を遂げます。斬られても斬られても立ち続ける姿は弁慶や足利義輝のような壮絶さ。
さらに、祝言を利用されたと知った真田信繁、お梅のために人としての怒りを爆発させるきりに対して冷静に昌幸の策を悟る信繁。
人としての情と武将としての非情さの狭間で揺れ・真田昌幸に父としての情を求める息子としての信繁。
最後は、信幸と信繁の兄弟のシーンで祝言の回はフィナーレ。
悩め、源次郎!
それでも前を向いて進むしかないのだ
と語る真田信幸は素晴らしかった。
室賀正武から見たら、二枚舌、三枚舌の昌幸はなんて嫌なやつなんだろう。こいつは腹黒すぎて友達になりたくない。
友にはなれずとも信濃を託す昌幸よ。