鬼滅の刃に出てくる兄弟愛とその関係:長男だから我慢できた

鬼滅の刃に見る長男と次男。

鬼滅の刃は、家族愛を一つのテーマにしているマンガ。その中でも兄弟関係に強い焦点が当てられていて、リアル兄弟・兄弟弟子が、主人公の炭治郎をはじめ、たくさん出てきます。中でも、兄上こと黒死牟と縁壱兄弟の愛憎劇には、兄弟間で葛藤を抱えている人から、「涙が止まらない」「生まれてはじめて、兄の気持ちがわかった」という叫び声が上がっています!!
本記事は、鬼滅の刃ネタバレを含みますので、ご注意ください。

鬼滅の刃に出てくる長男と次男:兄弟達の関係

歴史的にも、足利尊氏・直義兄弟、源頼朝・義経兄弟など兄弟で争う例は、人々の心を震わせ多くの物語が紡がれてきました。

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北斗の拳のジャギが叫んだ「兄より優れた弟なぞ存在しねえ」

ジャンプマンガの王道「北斗の拳」も、ラオウ・トキ・ケンシロウ・ジャギの四兄弟は有名で、ジャギの名言「兄より優れた弟なぞ存在しねえ」は、有名すぎるほど有名。このセリフがあってこそ、炭治郎の「長男だから我慢できた」があると言うべきでしょう。いや、このセリフをもって、歴史上、つながってきた兄弟達の物語の一環に、鬼滅の刃が仲間入りしたのです。

賢兄愚弟との言葉をご存知でしょうか。弟にとって、どんな兄でも幼少期はスーパーマンです。幼い頃はスーパーマンだった兄を純粋に尊敬していた弟、しかし、時が流れ、兄弟の時間が対等になると必ずしも賢兄とはいえなくなります。その典型が、三兄ジャギにたいする末弟ケンシロウの関係。優れた弟に嫉妬する兄は、「兄より優れた弟なぞ存在しねえ」と幼い兄弟に向かって叫ぶしょうもない男になりさがってしまいました。

鬼滅の刃に出てくる兄弟においても、優れた兄がいれば、弟は素直に兄を尊敬しています。そうでない場合、時透兄弟や黒死牟のように、関係がややこしくなってしまいます。

頑張ってきた長男炭治郎

炭治郎は、6人兄弟の長男。そのことに誇りを持っており、たとえ、鬼になろうとも禰豆子を守ります。残念ながら、他の家族は、鬼に殺されてしまいますが、兄弟愛に溢れ、長男だから我慢できたけど次男だったら我慢できなかったの名言を履きながら、敵の鬼と戦います。

長男だから

出典:鬼滅の刃

俺はもうほんとにずっと我慢してた!!善逸を女の子から引き剥がした時も声を張ったときもすごい痛いのを我慢してた!!俺は長男だから我慢できたけど次男だったら我慢できなかった

炭治郎は、長男としてとても優秀。時折、出てくる過去の弟妹達は、炭治郎が大好き。

善逸と兄弟子・獪岳 (かいがく)

善逸と兄弟子・獪岳 (かいがく)の関係は少しかなしい。鬼殺隊の剣士「我妻善逸」は、孤児として育ち、桑島慈五郎(くわじま・じごろう)という雷の呼吸の使い手に育てられます。

誰からも期待されなかった善逸に期待し、一人前の剣士・人間にしてくれたのが、じいちゃん桑島さんだったのです。ただし、善逸は、たった一人の弟子だったわけでなく、獪岳という兄弟子がおり、じいちゃんは、二人を分け隔てなく育てます。しかも、じいちゃんは、二人揃って、雷の呼吸の後継者とします。

平等に兄妹を育てる話には、北斗の拳にもあります。サヴァ国の国王アサムは、三人の息子達「カイ、ブコウ・サトラ」を分け隔てなく育てます。しかし、長じて副王となった三人は、自分こそが後継にふさわしいと国王の座を巡って争い、父親アサムを嘆かせます。兄弟を平等に育てるというのは、簡単なようでいて非常に難しいというのが、鬼滅の刃でも善逸と獪岳の関係に表現されているのです。

獪岳は、自分こそが優れていて、善逸を無能だと罵り、いじめるのです。獪岳としては、優秀な自分を優遇して当たり前、能力で劣る善逸を平等にというじいちゃんの方針が嫌で仕方なかったのです。そんな獪岳のことを善逸は、こう言います。

不平の音

出典:鬼滅の刃

どんな時もアンタからは不満の音がしてた。心の中の幸せを入れる箱に穴が空いているんだ。どんどん幸せが零れていく。その穴に早く気づいて塞がなきゃ満たされることはない。

この幸せとはなんぞやという問い、時透兄弟・不死川兄弟・黒死牟兄弟それぞれが提示する重要な問い。

浜崎あゆみが、Traumaで「幸せの基準はいつも 自分のものさしで 決めてきたから・・・」と歌うように、自分で決めるしかないもの。

それでも、善逸は、獪岳を尊敬していました。嫌われていることを知っていて、嫌ってはいても、その努力は尊敬に値すると思っていたのです。

しかし、ごめん兄貴、じいちゃんごめんと優しい善逸は、怒り・謝りながら戦うことになりました。

二人の兄弟弟子が見えた時、獪岳は倒すべき敵である鬼になっていました。兄弟子を斬った善逸は、「この技でいつかアンタと肩を並べて戦いたかった」とつぶやき、兄貴と決別するのでした。

時透兄弟

無一郎の無は無駄の無それとも無限の無か

この兄弟は、ちょっとあぶなっかしい。優秀な弟「無一郎」に対して、少し嫉妬している兄。

無一郎の無

でも、兄は、弟を思い、誰よりも大切にしています。それゆえに言葉がキツくなる。弟の無一郎が、力尽きた時、兄は、またも、こっちに来るな、戻れ。無駄死にだと言い放ちます。

弟を傷つける言葉をたくさん言ってしまうのも愛情の裏返し、大切に思っているからこそ。

兄は、ただ、無一郎に死なないでほしかったんだ・・・兄の有一郎は、優しさゆえになくなった両親のトラウマを抱えて、弟に厳しく当たります。

最後に分かりあえた兄弟。

幸せになるために

「僕が何の為に生まれたかなんてそんなの自分でちゃんとわかってるよ。僕は 幸せになる為に生まれてきたんだ」

黒死牟が死ぬ間際、何のためにと自問し、何もなせなかったと嘆くかたわら、子孫である時透無一郎は、難問に答えを見出していました。幸せになるために生まれてきたんだ。そして幸せだったと兄に伝えることができました。このセリフで、有一郎も救われてあの世に旅立つことができました。

不死川兄弟のごめんを言いたいがために

不死川兄弟の弟、玄弥は、母親が鬼になり、兄の実弥が母親を斬ることで、救われたという言葉では言い尽くせないほど、つらい過去の持ち主。

自分の母親が鬼になり、我が子達を食べるために襲ってくるのです。そして、鬼になった母を殺した兄をよくわからないままに責めてしまうのです。これが二人のすれ違いを生むことになりました。

本来、優しい実弥は、鬼殺隊に入り、柱になるほど、強くなります。

玄弥は、兄を責めたことを謝りたい一心で、鬼殺隊に入って、兄に会おうとするのです。ところが、兄は、俺には弟などいないと拒絶するのです。

実弥が、玄弥を拒絶した理由。それは、玄弥を死なせたくないというそれだけでした。鬼殺隊に入れば、いつか死ぬ。自分は死んでもいいが、弟は死なせたくない。だから、鬼殺隊から追い出そうときつくあたっていたことが分かります。

不死川兄弟の絆

しかし、弟の玄弥は、同じ気持ちなんだ。兄ちゃんに幸せになってほしい。死なないでほしいと言い残して旅立ちます。言いたくても言えなかった「ごめん」「ありがとう」を兄に言い残して・・・

妓夫太郎と堕姫

鬼舞辻無惨配下の十二鬼月。妓夫太郎は、妹の堕姫と二人で一人”上弦の陸”。「奪われる前に奪い、取り立てる」がモットー。

鬼の虚しさ・人生のつらさや無惨さを一番、表しているのがこの二人かもしれません。兄妹という点もあり、炭治郎と禰豆子も、こうなっていたかもしれないという姿です。

鬼に人生を狂わされて人に救われた炭治郎、そして、人に人生を狂わされて無惨に救われた妓夫太郎。この真逆の関係はすごく面白い。

妓夫太郎にとって、唯一の希望だった妹の梅が、ある日、黒焦げにされてしまう絶望感。こんな目に合わされたら、誰でも鬼になるだろうという人生を歩んできた妓夫太郎。

負けて悔しい堕姫は、ついつい兄を責めてしまいます。不死川兄弟とは逆のパターンですね。

妓夫太郎の最後

それを聞いていた炭治郎。嘘だよと優しく口をふさぎます。この遊郭編は、兄妹の関係として最高の物語。兄を想う妹、妹を想う兄。炭治郎と禰豆子が間違った方向に行こうとすると様々な人達が助けに来ます。それに対して、妓夫太郎と堕姫は、お互い以外に助けてくれる人はいませんでした。彼らの周りに、助けてくれる人たちがいれば、違う人生を歩めたのに・・・生まれ変わることができたなら、そういう環境に二人揃って出会ってほしいと思います。

嘘だよ

何度生まれ変わっても鬼になる

何度生まれ変わってもお兄ちゃんの妹になる



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