鎌倉殿の13人。面白く見ています。第5話では、兄の宗時から弟の義時に大事な言葉が伝わりましたね。
さて、北条時政の親父殿は、相変わらず、生き残りしか考えていません。それが、鎌倉幕府を作り、13人の合議制を作り、執権制度を作り上げる北条義時にどう結びついていくのでしょうか。
それは、鎌倉殿の13人「第5話」で、はっきりました。自称、戦うために生まれてきた男。義時の兄「北条宗時」。
常に前向きで、疑うことを知らず。空元気のお兄ちゃん。その彼が、石橋山の合戦に敗れ、頼朝軍が窮地に陥ったとき、弟の義時に、己の思いを伝えます。
北条宗時が、弱小の源頼朝を担いだ重大な理由とは
宗時は出立する前に義時を呼び「平家とか源氏とかどうでもいい」と打ち明けていた。「坂東武者の世を作る。そして、そのてっぺんに北条が立つ。そのために源氏の力が要るんだ。頼朝の力がどうしてもな」と続け、義時は兄がどんな思いで頼朝に接していたのかを知ることとなった。小栗旬演じる兄「北条宗時の思い」
なんと、彼は、平家や源氏などどうでもいいと言います。源氏・頼朝は、目的のための道具であると言い切るのです。
北条宗時の目的は2つ
- 坂東武者の世を作る
- そのてっぺんに北条が立つ
ただし、この目的を北条だけでは達成できない。北条がトップに立てば、伊東どころか和田や畠山をはじめ坂東武者達が黙っていません。
これは、戦国時代含め、常に問題となることで、「誰がトップに立つか」。ここでモノを言うのは、能力以上に、血筋や権威。能力では、皆が納得しません。100mで最も足の早い人を選べても、政治・軍事・カリスマなどは、数値で測れない能力。信長の野望や三国志の能力値は、便宜上のモノですからね。いやー、この時代に、光栄のシブサワ・コウさんがいてくれれば、喧嘩や戦争がだいぶ減りそうです。
宗時は山を降りて桑原に降る。この時、時政と宗時が別行動をとったことについて諸説ある。宗時は伊豆国の平井郷(静岡県田方郡函南町平井)を経て、早河のあたりで平家方の伊東祐親軍に包囲され、小平井久重に射られて討たれた。北条宗時の死:ウイキ
坂東武者とは何
関東地方が、坂東と呼ばれていた理由は、京の都から見て、坂の東にあるから。東海道と中山道。この2つの主要街道を通ると、巨大な坂があります。これを歩いて超えるのは、大変だったのでしょう。
<坂東の坂の正体>
●足柄坂(足柄山)
●碓氷峠(碓氷山)足柄山はそう、箱根ですよね。先述しましたが、まさに箱根マラソンです。昔の人もあの峠を越えていたんです。つまり、東海道ですね。そして、碓氷峠といえば軽井沢ですね。群馬県と長野県の境にあり、関東から軽井沢方面へ向かう際に超える峠です。こちらは中山道ですね。
まとめると、足柄坂と碓氷峠より東側を総称して「坂東」と呼んだんです。なかなかよくできてますよね。
源頼朝は、源氏の棟梁から坂東武者の棟梁にクラスチェンジ
そして、頼朝と義経や義仲の違い。第四話「矢の行方」では、坂東武者に頭を下げることを嫌がる頼朝を義時が諭すわけですが。
頼朝の目的を「平家を倒す」から「坂東武者たちの棟梁となる」ことに大転換。
どうも、源義経は、源氏の棟梁にこだわっていた感じが強いのですが、伊豆で流人として暮らした頼朝は、坂東武者達の気持ちを理解していた様子。ただ、いまでさえ、人の考えを変える=説得というのは、大変な仕事。頼朝の達した考え方を義経や都の貴族に判らせるのは、とてもむずかしいことだったのでしょうと想像します。
何気にここまでの頼朝、「平家を倒す」ことは考えていたけど、「坂東武者たちの棟梁となる」ことは意識してなかった訳ですし。「源氏の棟梁」ではなく、あくまで「坂東武者たちの棟梁」であることが肝心で、これを意識するようになって、ようやく「鎌倉殿」足り得る訳ですし。#鎌倉殿の13人
— 神無月久音 (@k_hisane) January 30, 2022
平将門も、辺境の地と下に見られていた坂東で、反乱を起こしました。ここで、失敗した事を糧に、頼朝と北条家は、鎌倉で幕府を建てることに成功したのでしょう。
都では坂東は群盗が跋扈する野蛮な辺境地と考えられていた。その象徴ともいえる人物が平将門である。伯父との私闘に端を発した戦乱の当事者として朝廷に訴えられ、危険人物とされていた。しかし、寛朝が対面した将門は野蛮な武人という噂とは異なるものだった。人懐っこく笑い、幼い娘とともに歌舞音曲に親しみ、群盗の頭とも親しく言葉を交わす。何もかもが精緻につくりあげられた都とは異なる、野卑だが伸びやかな坂東の人と文化に寛朝は衝撃を受ける。落花:平将門
ただ、今回、鎌倉殿の13人で描かれるかわかりませんが、「坂東武者の世を作り、てっぺんに北条が立つ」。この言葉、兄から弟への呪いになった感あり。
鎌倉幕府成立後、北条は、仲間だったはずの御家人を次々に討ちます。比企家・和田家・三浦家・畠山家。せっかく、皆で作り上げた坂東武者の世。なのに、戦友で親戚だった彼らを討つのは、「てっぺんに北条が立つ」ため。ラストは、兄の言葉に呪われた北条義時の姿になるか。後鳥羽上皇に坂東武者の力を見せつける13人の姿になるか。どちらになるのでしょうか?