リーダーの資質「おおらかなこと」を匈奴単于と頭屠(とと)将軍に学ぶ

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リーダーの資質「おおらかなこと」を匈奴単于と頭屠(とと)将軍のお話から学んでみましょう。

優秀な上司・リーダーになるためには、部下とはまた違う資質を必要とします。

その一つが、おおらかさだと思います。登場してもらのは、北方謙三氏の歴史小説「史記」からのお話。おおらかさは、皆さん想像の通りです。

では、リーダーに必要なおおらかさとは何でしょうか?

部下の立場からは、うるさく注意をしてくる上司よりも信頼して任せてくれる上司の方が仕事しやすいですよね。だからといって、おおざっぱでいい加減というのは違う気がします。

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おおらかさを匈奴単于から学ぶ

大らかさとはどういうことなのか。史記「武帝紀」第7巻。中国の北にある国。匈奴の王=単于の若き狐鹿姑(ころくこ)と後見役のトト将軍が、話すシーンが、おおらかさをテーマにした良いやりとりなので、ご紹介します。

王に即位して日の浅い狐鹿姑単于は、まだ若く、自分自身に不安を抱く毎日。そこで、王としての自分がどうなのか、どのように振る舞えばいいのかをトト将軍に聞いてみます。

そこで、自分に足りないものを質問したところ、出てきた答えが「大らかさ」。それはどういうことかと彼は、さらに話を突っ込む。その返事が、膝を打つ内容。

これが、現代のリーダーにも、必要な「おおらかさの資質」だと思います。

歴戦の勇者、頭屠将軍の言う大らかさとは、

今のことではなく、一年先、二年先のことを考えて、臣下に仕事をさせればいいのですよ。明日のことなど誰もが考えます。一年先、二年先のことは、単于がお考えになるべきことです。

史記:武帝紀

目の前の仕事は、部下に任せる。その分、リーダーは、一年や二年先を考える!これが、答えでした。

王やリーダーは、目の前の細かいことは、部下にまかせる。その分、長期的な視野に立って先のことを考えるべきだということ。優秀な部下だった人ほど、目の前の部下のやり方に、いちいち、目くじらを立ててしまうということがあるはず。そこをなんとか、えいやと目をつぶって、部下に任せることは、リーダーの大事な資質です。

細かいことにこだわらない、大らかなリーダーの元では、良い部下が育ちます。

逆に、細かいことばかり気にして、口出しをするリーダーだと、言われたことしかやらない受け身の部下が育ちます。マネジメント用語では、マイクロ・マネジメントと呼び、リーマン・ショック後に流行しました。細かいこと口出しをしすぎて、成果が上がらないマイナスのマネジメントのことで、いい意味では使いません。

自分の性格に、細かい・神経質な点があると自覚のある方。意識してください。できるだけ、大らかな態度で、先を見るように、心がけましょう。

単于には、誰も何も言えない。そんな雰囲気が出てきたら、漢主劉徹と同じということですぞ。単于の言葉ひとつひとつが重みを持ってしまうということを心に刻みつけておくべきです。あまり多くのことを言われると、臣下は、今日のための仕事しかしなくなります。

細かいことを気にして、叱責ばかりしていると、誰もリーダーに相談しなくなります。都合の良い報告だけが上がってきて、悪いことには蓋。それが、漢帝国の皇帝「劉徹」の晩年。上記で言われている内容です。

良いリーダーは、細かいことを気にしすぎない

過去も現代も怒られるのは嫌なもの。それを長く続けると、暴君になりますよという戒め。

そして、上司と部下の大きなちがいは、言葉の重み。ミスをした時に、同僚から叱られるのと上司から叱られるのとはダメージがちがいます。お前はダメだなという同じ言葉であっても、立場が違えば、部下の受け取り方は変わります。そして、地位が高くなればなるほど、自分の言葉に重さが増し影響範囲も広がり、気軽に発言を変えることができなくなります。いわゆる朝令暮改で信用を失います。

さらに、指示の出しすぎにも注意。あれをやれこれをやれと上司が指示しすぎると、部下は、目の前にある仕事しかしなくなります。もしかしたら、自分のやり方とリーダーの指示が違う場合どうしようとなりますし、指示を待つ方が少ない労力で仕事を進められます。ひたらすらリーダーの指示を待つ指示待ちとそれを生むリーダーを戒めている内容。

「臣下は、今日のための仕事しかしなくなります」=これではダメですよね。

リーダーに必須の性質こそが「おおらかさ」だということを北方謙三氏は、歴史小説の中で何度も描いています。特に、リーダーを目指す人には、史記 武帝紀を読んでいただきたいと思います。

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