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武田信玄の名言「戦は、五分をもって上とし、十分をもって下とす」は、勝ちすぎのいましめ
- 2020/8/21
- 歴史に学ぶ職場対応術
- 武田信玄

風林火山の旗で有名な武田信玄。中国の軍略書「孫氏」を愛読する重厚な武将です。出身地の山梨では、最も尊敬されている人物といえる人。
それだけに、多くの名言を残しており、「およそ戦というものは、五分をもって上とし、七分を中とし、十分をもって下とす。」を聞いたことがある人は多いはず。
その意味は、「五分の勝ちだと、今後に対して励みの気持ちが生じ、七分の勝ちは、怠り心が生じ、十分つまり完全勝利だと、敵を侮り驕りの気持ちが生まれる。」という内容。
いわゆる勝ちすぎを戒める言葉。
信玄公いわく、戦は、五分をもって上、七分を中、十分をもって下とす。
20XXでの武田信玄公のお姿
武田信玄は、上杉謙信、村上義清といった武将と戦いに明け暮れる中、一戦で勝負を決める戦いは少なかった。敵を味方につける調略を多用し、5分の勝ちを実践していたのではないでしょうか。
しかし、後継者の武田勝頼は、意外にも、父の信玄死後に、武田家の領土を広げることに成功します。不落を誇った高天神城を落とし、遠江の一部を版図に加えたことが、後でしっぺ返しとなる未来が見えていれば・・・あえて、領土を守る方向へと方針転換するほうが上策だったのではないかと考えてしまいます。
そして、十分勝つと、驕りに加えて2つの副作用があると思います。あわせて3つの問題点ということになりますね。
勝ちすぎによる3つの問題点
- 1.おごり
- 2.敵を追いつめて、死にものぐるいにさせる:窮鼠猫を噛む
- 3.周囲に敵を作る
勝ちすぎによる副作用。その1のおごりは、武田信玄公の指摘している通り。勝ちすぎてのおごりから負けるのは、中国によくある話。映画レッドクリフで有名な曹操が負けた赤壁の戦い、項羽と劉邦の漢帝国建国の歴史などたくさんありすぎるほど。
追い詰めすぎると危険
実は、こっちの視点の方が現代には合うのではと思います。
現代は、刀や銃で戦うよりも言葉やお金の戦い。そのため、相手の息の根を止めることはできません。
例えば、あるプロジェクトで、あなたの案が採用された場合、他の提案者の提案をとことんダメ出しすればどうでしょう。その人は、あなたのことを敵視して協力してくれないかもしれません。
議論をする時、徹底的に相手を追い詰めてしまえば、敵意を持たれるだけ。相手に花をもたせて、五分の勝ちに抑えた方が、後でいいことがあるはず。相手がぐうの音も出なくなるほど勝つと、メンツも立たず恨まれてしまいます。
周囲に敵を作る
勝ちすぎると、周りに脅威をあたえてしまいます。それこそ、包囲網を作って、四面楚歌になるときびしいですよね。
武田信玄自身、強すぎたせいか、上杉、北条、徳川と周りをすべて敵にまわして苦しんだことがあるほど。同じ戦国時代の英雄、織田信長も信長包囲網を作られて、あやうく滅ぶところでした。
それよりも、ギリギリ勝ったを続けていくほうが、周りも安心して油断すると思います。